メルボルン事件の真実 冤罪の可能性と真相に迫る 本多千香さんのその後
メルボルン事件って知ってる? 海外旅行って人生のイベントの中でも特別に楽しい体験よね。 その楽しいはずの旅行先であなたが身に覚えのない犯罪の犯人にされてしまったとしたら・・・ 天国から地獄へとはまさにこのことよね。 |
1992年オーストラリアメルボルン空港で5人の日本人がスーツケースでヘロインを持ち込んだとして逮捕される事件が起きた。
ヘロインは二重底になったスーツケースに隠されていた。
表面的に見れば旅行者を装った日本人がこっそり麻薬を持ち込もうとした事件ということになるが、そこに至るまでに非常に複雑な経緯があった。
このブログは女の事件ということで、5人の逮捕者の唯一の女性である本多千香さんに焦点を当てていくわね。 |
本多千香は36歳の女性で、東大宮のバーで勤務していた。
バーの常連客からオーストラリアツアーにと誘われ、行くことにした。
旅行には常連客の父親や兄も参加し、7人での旅行となった。
オーストラリアの空路の経由地であるクアランプール空港で降りたち、一行は市内のレストランで食事をした。その間に、スーツケースなどの手荷物を積んだ車が盗まれてしまったのだ。
翌朝、マレーシア人のガイドのチャーリーから、捜索の結果手荷物は発見できたと言われた。
ただし、荷物がナイフのようなものでズタズタに切り裂かれていたので、全員分のスーツケースを用意して、すでに中身を詰め替えたということだった。
海外旅行では手荷物のトラブルはよくあるけど これはいくら何でもおかしくない? スーツケースをその場で人数分用意して、しかも勝手に詰め替えるなんて この時点で怪しいと思わないとね |
一行はオーストラリアのメルボルン空港に到着。
あこがれのオーストラリアに降り立った千香は、可愛いカンガルーやコアラとの出会いに心を浮き立たせながら入国審査のゲートをくぐった。
するとX線検査でスーツケースが二重底になっていることが発覚。
そして、そこから何と13キロにも及ぶ大量のヘロインが・・・
7人の日本人のうち、旅行を主催した親子3人と千香、初老の男性の5人が逮捕されてしまった。
千香は必死で無罪を訴えたが、警察署に呼ばれたオーストラリア人の通訳がひどすぎた。
この通訳は、千香の日本語をほとんど聴き取ることができず、取り調べの警察官に事実とは異なる内容を伝えたりした。
その結果、千香に対する心象は最悪になり、有罪へと大きく傾いてしまった。。
私も海外旅行によく行くから、これは身に積まされるわね 言葉が通じないというのは、ある意味人間扱いしてもらえない気がする。 ファストフードの店員にバカにされたような態度を取られたことを思い出しちゃったわ。 |
千香は逮捕された5人とともに、裁判を受けることになった。
オーストラリアの裁判は陪審員制なので、一般市民の主観が裁判結果に強く反映することになる。
英語の不自由な日本人のしどろもどろの取り調べの光景をビデオで見て、この日本人は信用できないと判断されたのだ。
主犯と見なされた人物は懲役25年、千香も含めたあとの4人は懲役15年の判決が言い渡された。
懲役15年・・・しかも異国で・・・
人生終わったとしか思えないわよね |
オーストラリアの刑務所に入った後も、身に覚えのない罪に対し千香は潔白を訴え続けた。
しかし、控訴した裁判はことごとく棄却され、1997年に連邦最高裁判所への上告却下となり、刑が確定した。
千香は絶望し、手首を切って自殺未遂を図った。
一命をとりとめた後は、何とか立ち直り、英語を習得し、友達もできて、刑務所生活にも適応するようになった。
刑務所の職員は千香にネコをあげたというエピソードからも、千香は模範的な服役囚だったことになる。
日本の支援弁護団はそれでもあきらめず、逮捕時の弁護士や通訳の不備による不当な判決であると主張し、個人通報制度を通じて国連に訴えた。
この訴えは結局国連側から却下されることになったが、ある程度の効果はあったのかもしれない。
千香は15年の刑期よりはるかに短い2002年に釈放され、日本に強制送還されることになった。
36歳で逮捕されてからすでに11年の月日が経っていた。千香はすでに47歳になっていた。
やっと釈放で、とりあえずよかった! 女の貴重な30代を奪われたのは身を切られる思いだったろうけど その分幸せになって不運を取り返してほしいわね |
それにしても、この事件の真相はどうなってるの? 千香さんは無実なんでしょ? そこが気になって仕方ないわ |
千香の帰国後、本人が出演したテレビ朝日の「ザ・スクープ」やその関連著書などにより、事件の背景が明らかになってきた。
浮かび上がってきたのは、次のような筋書きだ。
千香をオーストラリア旅行に誘った人物とのその父親、兄も旅行に参加していたが、父親は元暴力団で、公文書偽造、拳銃所持、向精神薬所持の前科があった。
その3人およびガイドのチャーリーは、マレーシアの麻薬シンジケートの主導のもと、ヘロインの密輸に手を染めていた。
千香ともう一人の老人は何も知らないまま、ただのリゾート旅行だと騙されて、ヘロイン密輸を手伝わされたということになる。
もちろん、今となってはこれらを事実として確かめるのは不可能に近い状態になっているが・・・
オーストラリア政府も逮捕者の中に冤罪が含まれていたと認めるような姿勢は現在まで見られない。
理不尽だけどあきらめるしかないのね・・・ 本当に残念 千香さんは悪い夢だったと忘れて、前向きに生きていくしかないわね そういえば、千香さんは今どうしてるの? |
2017年現在、千香は61歳となった。
いつかは自分の無実が証明される日を夢見ながら、日本での生活を送っている。
また、自分のような犠牲者を増やさないために、テレビ出演、出版、講演などを通じて、自らの恐ろしい体験を語る活動を続けているという。